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開館は 金・土・日曜日・祝日 10:00-17:00 です 

昭和のくらし博物館は、東京郊外の大田区南久が原の住宅地の中にある小さな博物館です。
昭和26年建築の庶民住宅である旧小泉家住宅主屋を家財道具ごと保存し、丸ごと公開しています。

「家をのこし くらしを伝え 思想をそだてる」

設立したのは、この家の長女であり生活史の研究者である小泉和子です。
建築や家具、道具など、モノと人間の関わりを長年研究し、全国の文化財の仕事に携わってきました。
その中で強く実感したことは、「いつの時代も、最も残りにくくかつ軽んじられるのは一番身近なはずの庶民のくらしである」ということ。

実家が無人になったのを機に、建物を残して今の私たちのくらしを見直す場にしようと、平成11年に博物館に生まれ変わらせました。手作りの小さな博物館です。

開館以来、昭和の歴史の隙間を掘り起こす研究の場に、文化財活用の新しい試みの場に、都市の中の憩いの場に、という強い思いを持って活動してきました。建築や資料を単に保存するだけでなく“生きている家”にしたことで、空間だけでなく、昭和の人のつながりまでもが戻り、大勢の人が集まってくださるようになりました。

昭和時代のくらしを伝える人と建物がどんどん減ってゆく中で、今後この博物館の果たす役割は年々増していくと考えます。
「家をのこし くらしを伝え 思想をそだてる」
この設立の思いを持って、これからも活動を続けてゆきます。

昭和のくらし博物館のモットーとロゴは、書家で篆刻家の古田悠々子さん作

館長あいさつ

この博物館の建物は昭和26年に建った住宅です。
昭和25年にはじまった政府の住宅政策、住宅金融公庫の融資を受けて建てた、いわゆる公庫住宅です。公庫住宅としてはもっとも初期のものになります。
当時は建築資材が不足していたため、公庫の融資住宅には規模や工事費の制限がありました。したがって規模も小さく、いたって粗末なつくりです。

ここに平成8年までの45年間、私の一家がくらしました。
最初は両親と娘4人の6人家族でしたが、やがて長女・3女・4女の3人がこの家を離れ、両親と次女がくらしていました。しかし昭和57年に父が亡くなり、ついで平成4年に母が大腿骨骨折のため寝たきりとなったため、この家を出て長女の私の家に移り、さらに6年に次女が亡くなりましたので無人になってしまいました。
壊してしまうことも考えたのですが、この時期に建てられた住宅が現在、ほとんど残っていないことと、1軒分の家財がそっくり残っていることから、決して立派な家でも家財でもありませんが、これはまるごとが戦後の庶民のくらしの資料ではないかと考えて、このまま残しておくことに決めました。

考えてみれば私たちが生きた昭和という時代は、昭和恐慌によって幕を開け、日中戦争、太平洋戦争と、あいつぐ戦争から、戦後はまた、生産体制から社会、文化、生活のすべてにおいて大変動が起こった激動の時代でした。
そしてこうした時代の激流にもっともおおきな影響を受けたのがくらしです。くらしは人間が生きてゆく上の基礎となるものですが、くらしというものを重視する基盤の弱い日本では、まず最初に犠牲にされるのがくらし、それも庶民のくらしです。

このため、単に住宅と家財を保存しておくだけではなく、ここを学習の場として、くらしの面から昭和という時代をもういちど考え直してみたい、そして出来得るならば、くらしの哲学といったものを打ち立てたいと思い、「昭和のくらし博物館」としました。
どうかみなさまもご一緒に昭和という時代をもういちど考え直してみてください。

館長 小泉和子(こいずみかずこ)

昭和8年東京都文京区小石川生まれ。
女子美術大学芸術学部洋画科を卒業後、東大工学部建築学科建築史研究室で日本家具・室内意匠史を研究し、工学博士号を取得。
家具・道具および建築を中心として生活史を研究する。重要文化財建造物の家具・インテリアの復元および博物館・資料館の展示企画などを行う。

『昭和のくらし博物館』(河出書房新社)、『昭和台所なつかし図鑑』(平凡社)、『室内と家具の歴史』(中央公論社)、『TRADITIONAL JAPANESE FURNITURE』(講談社インターナショナル)、『道具が語る生活史』(朝日選書)など著書多数。

NPO法人昭和のくらし博物館理事長
生活史研究所代表
家具道具室内史学会会長
元京都女子大学教授

副館長 下中菜穂(しもなかなぼ)

造形作家、もんきりと伝承切り紙研究 歳時伝承研究

1960年千葉県生まれ。
江戸時代の『紋きり遊び』を通して「かたち」に込められた祖先の暮しぶりや精神を紹介。
「文様を暮らしの中で楽しむ」文化や手仕事を現代に蘇らせるべく、出版やワークショップ、展覧会などを展開。
今も暮らしに生きている切り紙を訪ねて中国の農村、奥三河、南三陸などへフィールドワーク。

NPO法人昭和のくらし博物館理事
アンデルセンこども美術館(船橋市)切り紙展審査委員長
くさっぱら公園世話人
元東京造形大学非常勤講師

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